Web3.0とweb3の違い
WEB動向考察
2023年5月5日
こんにちわ。
WEBLICの坂本です。
最近のweb3の重要な議論の中で、Web3.0とweb3の違いというものがあります。この違いの何が重要かと言うと、今までのWEBの進化の流れとして、もともとイメージしていたものと違いがあります。
実はWEBには、1.0、2.0、そして3.0の流れがすでにあり、それらの流れとは違う派生としてweb3という流れが生まれているということです。
とは言っても、両方WEBの進化の先にあるものという意味では、どちらが源流なのかは、そこまで重要ではないかもしれません。ですが、実際に議論していく中では、既存のWeb3.0の概念とweb3は技術面でかなり違います。ということで、踏まえて議論しないと少しややこしいこととなります。
まず、細かい話ですが、まず、見てわかる通り、「Web」と「web」という具合に頭文字の大文字と小文字で使い分けているようです。「3.0」と「3」という数字の使い方も少し違いますね。
で、概念としては、色々、言われはありますが、大体以下の通りに分けられます。
■Web3.0
セマンティックWEBという概念を目指す流れで、一方向の静的ないわゆる普通のWEBサイトなどを通して情報を公開できるようになったWeb1.0から、現在のブログやSNSなど双方向のやり取りが可能になったWeb2.0。その進化としてのセマンティックWebの3.0。提唱されているのは、ティム・バーナーズ=リーさんという方。W3Cという団体を通して定義がされています。
■web3
上記のWEBの進化の流れから派生してはいるがWeb3.0とは別の概念。2014年にイーサリアムの共同設立者であるギャビン・ウッドさんによって提唱された、分散型のネットワークとそれらに準じたエコシステムのことを言います。主にブロックチェーンを活用したネットワークやサービス、アプリなどを指すことが多いですが、実際は、ギャビン・ウッドさんがもう少し具体的には定義しています。
この違いについては、伊藤穰一さんの解説がいいと思います。
web3とは ──僕はこう思う(伊藤穰一氏)
さて、いわゆるセマンティックWEBと言われるWeb3.0はざっくり言ってしまうと、WEBに展開される情報をいかに効率的に的確に検索させるかの概念で、検索クローラーにどう情報を読み取らせるかの議論です。ただ、これは、昨今のAI技術により、どこまで重要性があるのかは分からなくなってきました。というのも、そもそも、セマンティックなWEBの情報を実現するためには、情報に付随するメタデータとして、別途意味づけをしていく作業であり、かなり膨大な作業が必要になってきます。AI的な検索か、セマンティックWEBの検索か、どちらが的確な情報を定義していけるのか? もちろんAIもWEBの情報を取得していますので、セマンティックなWEBの情報のあり方はAIにとっても効率的に情報を取得し分析する上では役立つかもしれませんので、今後、どういう形で情報検索技術が定義されていくかは、議論されていくと思われます。
一方でweb3については、まったく違う概念です。web3で目指す概念の芯はブロックチェーンを活用した自立した非中央集権ネットワークです。今までの、Web2.0で構築されたSNSや様々なWEBサービスとは違い、管理する会社を必要としないエコシステムの実現が大きな柱です。
このように、Web3.0もweb3も、技術的な側面では大きく違います。
私の個人的な見解としては、私もWEBの黎明期からインターネットに接してきていますが、当時、インターネットの将来を思い描く中で、今で言うデジタル通貨や暗号通貨的なものを思い描きつつ、インターネットの中で個々人の承認をどう確実に行えるのか? デジタルにあるものの価値をどう実装できるのか?と思い巡らせながら、サービスやWEB上のサービスの行く末を考えてきました。ということで、私の中で「web3」は、技術的には派生でもインターネットが持つ文化や精神性の部分では、源流そのものという感覚で、源流のWeb3.0の中で、いわゆる「web3」を含めた定義をしていってほしいです。というか、現在のWEBの仕様や技術的定義や概念を話し合うW3Cという団体がありますので、そこでの議論でWeb3.0でもWeb4.0でも定義づけて皆で合わせて議論する土壌ができるといいのかなと思ってます。
さて、以下の動画は、ビットフライヤーの加納さんが、Web3.0とweb3の違いを認識しつつ、文化や精神性としての話と技術の話をWeb3.0とweb3では分けて語る必要があると述べています。
私も全く同感でしたので、参考までに以下、動画を紹介しておきます。
なお、加納さんは別途、web3の定義の詳細をレポートで公開しています。